生没：1891年～1980年

小説『北回帰線』などでアメリカを代表する作家となった人物ですが、水彩画家としても活躍しています。

水彩画を始めたのは1926年36歳の頃で、文に行き詰った時に気分転換なのか描いていたようです。翌年には早くも水彩画の個展を開催しました。

ミラーの絵の制作スピードはかなり速く、多いときにほ年間200～300枚近く描いていました。ただし、販売には無頓着で世話になった人々や申し出があるとすぐに配ってしまっていたようです。
1962年に大手出版社によう画集が刊行され、徐々に知られるようになりました。

日本でも当初は絵画として評価が高くなかった作家ですが、町田市の国際版画美術館館長も務めた美術評論家、久保貞次郎氏らの尽力もあり次第に評価されるようになりました。このため版画作品は日本で出版となったものも数多く存在します。
1970年代以降は日本でも個展が開催されるなど評価が進みました。

1891年　ニューヨーク・マンハッタンにて生まれる。
1909年　大学を中退。
1924年　転々といていた仕事を辞め、文学に専念することを選ぶ。
1928年　当時の妻と1年間のヨーロッパ旅行に出る。
1934年　長編小説『北回帰線』を出版。
1939年　小説『南回帰線』・『ハムレット』第1巻を出版。
1941年　『ハムレット』の第2巻を出版。
1943年　水彩画に夢中になり、年間300枚近くを描く。
1944年　水彩画集を刊行。
1949年　二巻本『セクサス』を出版。
1955年　東京で水彩画展を開催。
1970年　ナポリ市の年間最優秀図書賞を受賞。ミラー唯一の文学受賞歴。
1974年　フランスよりレジオン・ドヌール勲章を受章。
1980年　死去。

参考：『絵画の魔術師 ヘンリー・ミラー』 久保貞次郎・野坂昭如 編 1990年
　　：『生誕100年記念 ヘンリー・ミラー絵画展』 1991年